5分後、卓木はアンドリュー医院に着いた。医院の入口で彼は例の、彼に写真をくれた人物に会った。中国人の若者で、17,8歳、背がスラっと高く傲慢で、唐明と自己紹介した。
卓木は車を降りてすぐ尋ねた。
「あなたは何を確認したいのですか。まさかあなたも写真の出処を知らないのですか」
唐明は不満そうに言った。
「俺はもちろん写真の出処は知ってるよ。俺が確認したのはこれがマスチフか、本物のマスチフかということさ」
卓木は言った。
「もちろん本物です。世界上にこれよりも高貴なチベタンマスチフは存在しません。これこそ真正なマスチフの中のマスチフです。」
唐明は気恥ずかしそうに頭を掻くと、疑わしそうに言った。
「そういう意味じゃなくて、これは本当に存在するのか、それとも幻かということ」
「幻?」卓木は言った。
「これが幻のはずばない。まさかあなたは撮影者に尋ねなかったのですか。この写真の出処は一体どこですか」
唐明は不満そうに言った。
「俺はいろんなマスチフの専門家に聞いたけど、皆これは偽物かさもなくば合成写真と言うんだ」
卓木は唐明の肩をしっかり掴み焦って聞いた。
「撮影者は?彼を連れて来てください。私たちが一緒に聞いてみましょう。そうすれば全てがはっきりするでしょう」